2011/12/20養成講座修了生・受講生インタビュー
修了生 伊藤博隆さん(ベトナム)1
2005年秋に修了して以来、ずっとベトナムで日本語教師として活躍している伊藤博隆さんからのレポートです。
ベトナムは伊藤さんのほかにも修了生がたくさん行っている人気の国ですが、現地で奮闘している様子がよくわかります。
今回は第1回目です!
(中央のチェックのシャツが伊藤さんです)
ベトナムといえば、皆さんは何が思い浮かぶでしょうか?フォー、生春巻き、チェーなどのおいしい食べ物ですか?それともアオザイという伝統的な服装をしている綺麗なお姉さんですか?それとも道に溢れんばかりのバイクの数でしょうか?それともベトナム戦争、枯葉剤、ベトちゃん・ドクちゃんのことでしょうか?
私は、ECC日本語学院で日本語教師養成講座420時間コースを修了して2005年12月に日本語教師として来越しました。イギリスへボランティアに行っていたときに、英語の先生から親切にしてもらったのが日本語教師になろうと思ったきっかけですが、月日は長いもので、ベトナムへ来て日本で働く技能実習生やエンジニアに日本語を教え始めてから、丸6年が経ちました。
ところで、エンジニアについては、説明の必要はないと思いますが、技能実習生とは何だ?と思われる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
技能実習生って
日本には技能実習生制度というものがあります。開発途上国などから来日した人々が、日本の技術を日本で3年間働きながら学び、帰国後、母国の産業の発展に寄与してもらおうという制度です。その制度に則って働く人々を技能実習生と言います。しかし実際は日本人側にとっては、いわゆる3Kといわれる業種の労働力の確保、ベトナム人側にとっては、金を稼いで生活を向上させることにつながっている場合が多いです。
現在、ベトナムは高度経済成長時代です。金利も一昔前の日本以上にいいようです。ところが、一流大学を卒業して就職した場合の初任給は多くて500万ドン/月ぐらいと少なく、日本円にすると、約2万円弱です。その上に最近の物価上昇率は年20%に迫る勢いです。
私が教え始めたころは、家族・親戚の生活を一身に背負ってきている実習生が多かったですが、最近は、生活にあまり不自由していないが、今の生活をよりよくするために働くという実習生も増えてきています。
そんな実習生たちが最初に通る日本語の難関がひらがな・カタカナです。私達が教える実習生は、この仮名を覚えることから始まりますが、結構聞きわけることが難しい音が多いのです。例えば、日本人が英語を習うとき、よく言われるのが、LとRの発音ですね。私は未だに聞きわけることができません。THの音も難しいです。では、ベトナム人が苦手な発音ってなんだと思いますか?ベトナムの北部出身の人は、「な」行と「ら」行を混同してしまう人が多いです。でも一番多いのは、「や・ざ・じゃ」、「ゆ・ず・じゅ」、「よ・ぞ・じょ」を混同してしまうことです。どうも「や・ざ・じゃ」が全て同じ音に聞こえる人もけっこう多いようです。
そこで第1回目は、“よくありがちな仮名の授業の一コマ”を紹介しましょう。
今日は仮名清音3日目「ま」から「ん」まで。仮名の50音表を見ながら、発音の確認!!
わたし:サンさん
サン :ま・み・む・め・も・や・ゆ・よ・「な・に・ぬ・ね・の」・わ・を・ん
わたし:(あれ!!読む段を間違えたかな?もう一度しよう!!)サンさん
サン :ま・み・む・め・も・や・ゆ・よ・「な・に・ぬ・ね・の」・わ・を・ん
わたし:(「ら」行と「な」行の区別がついていないみたいだ!!ベトナムの北部出身の学生だ、どうしよう!!)
鼻を摘まんで「な」行を言ったり、ホワイトボードに「L」を書いたり、するなど必死に・・・額から汗が・・・。養成講座の音声の授業、苦手だったしなあ・・・。もっとよく勉強しとけば良かった。反省!!
サン :先生、どうしようもない(勿論ベトナム語で笑いながら)
わたし:(おんどりゃー、なめとんのか!!と心で言いながら、表情はいたって冷静)
わたし:(気を取り直して)ユンさん
ユン :ま・み・む・め・も・「ざ・ず・ぞ」・ら・り・る・れ・ろ・わ・お・ん
わたし:(あれ、「ざじずぜぞ」はまだ教えてないんだけど・・・もう一度しよう!!)ユンさん
ユン :ま・み・む・め・も・「ざ・ず・ぞ」・ら・り・る・れ・ろ・わ・お・ん
わたし:(「や」と「ざ」、「ゆ」と「ず」、「よ」と「ぞ」が区別できないんだろうな。たぶん、「じゃ・じゅ・じょ」が入ってきたら、もっと、ややこしくなるのだろうな!!どうしよう!!)
口を大きく開けろというジェスチャーをしたり、人差し指を口の中に突っ込んだり、するなど必死に・・・・また額から汗が・・・でもよく考えたら、仮に日本語で説明できたとしても、全く役に立たん、どうしよう・・・。
ユン :(人差し指を口に突っ込むのが恥ずかしい様子。顔が真っ赤になっている)
わたし:(恥ずかしがっている時間はないのに・・・仕方がないなあ。)
サンさんもユンさんも4カ月の勉強が終わり、日本へ働きに行きましたが、最後までサンさんは「せんせい、よ「の」しくお「れ」がいします(よろしくお願いします)」「どうもあ「に」がと ございます(どうもありがとうございます)」と言っていました。ユンさんも最後まで「どう「よぞ」ろしく(どうぞよろしく)・どうもありがと ご「や」います(どうもありがとうございます)」と言っていました。私の教え方が悪いのでしょうか?彼らの耳が悪いのでしょうか・・・。でも、彼らは日本で頑張って働いているようです。時々片言日本語の電話がかかってきます。
(第2回に続く)
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